メール友達

もう15年ほど前になるだろうか。
当時大ヒットしたハリウッド映画で「メール友達」を題材にした作品があった。
仕事の話、友達のことなど、何気ないことを顔も知らない相手とメールだけでやりとりする。

先入観が無い分、相手の考え方や言葉の選び方だけでしか判断できないメール。
次第に二人は惹かれあっていく。
一方、現実の世界では取引先の相手と衝突してばかりの主人公。
荒れた気持ちを癒やすのはやっぱりメール相手だった。
映画のクライマックスでは、やっと会う約束をした二人。
待ち合わせ場所に行くと、いつも衝突していた取引先の相手がいる。
そこで、実は知っている同士だったことに気がつく。
仕事上では気がつかなかった相手の優しさなどをメールでは知ることができていたので、二人は恋人として結ばれるのだった。
この作品が大ヒットしたこともあり、「メル友」のブームは世界中へと広がっていった。
昔から、文通相手の募集などはあったが、携帯電話の普及でもっと手軽になった。
それが援助交際や薬の取引などの犯罪に繋がる結果となったが、この映画は今になって見ても心がキュンとする内容だ。
そういえば、私もたくさんのメル友がいたな、と誰もが思い出したことだろう。
結局顔を合わせる前にやりとりしなくなった人もいるし、今でも友達関係が続いている人もいる。
思わず本音がこぼれてしまうメールだからこそ続く関係ってあるんだな、と思った。
最近ではSNSが当たり前のように使われていて、あなたと私というやり取りではなく、私とみんな、という関係性になってしまった。
文章だけで密な関係は生まれなくなったが、またここから新たなラブストーリーが生まれるかもしれないと思うと、ワクワクする。

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