キーパー一筋

サッカーのキーパーというポジションはおもしろい。
私自身10年以上に渡ってこのポジションでゴールを守ってきた。
人からは、何が楽しくてキーパーをやってるのと聞かれるが、一番興奮し、楽しいポジションだと思う。

キーパーは手を使えるというだけで、ゴール前に張り付いてなければならないというルールはない。
周りと一緒になって攻めて行ってもいいのだ。
たまに、試合終了間際に一人でも攻撃人数を増やそうと、負けている方のチームのキーパーが前線までやってくることがある。
キーパーは背が高い人がやることが多いし、試合での疲れもフィールドプレーヤーよりは少ないから、最後のワンプレーのコーナーキックではそういうプレーが見られる。

ちなみに私はそんな経験はない。
普通にプレーしていても充分に楽しいポジションだ。

敵からシュートを打たれるたびにドキドキするのはキーパーくらいなものだろう。
ディフェンダーも同様なのだが、キーパーがいるから、と安心しているタイプも多いのだ。

その不安からの解放。
鋭いシュートを止めた時の嬉しさ、気持ちよさは何ものにも変え難い。

一瞬の安堵の後に、これから来る全てのシュートを受け、ゴールを絶対割らせないという使命感がドクドクと湧いてくる。
チームのヒーローは主に点を決めた選手だが、自分が止めたことで点差が保たれ試合に勝ったのであれば、それがキーパーにとって最高の殊勲なのだ。

ずっとやってきて、キーパーの技術は年々進化しているし、少しずつ教える側にも実力がついているのだと感じている。
私が小学生だった頃にはなかったボールの処理の仕方があるし、高校生になった頃に多くのキーパーのスタイルが変わったのを見た。
世界中でだ。

今もまだ進化の途中だろう。
点を決めるゲームだからこそ、点を決めさせない私たちが試合を作っている。

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